シャノンの悪魔とケリー基準
それではシャノンの悪魔がどのような理屈で利益をもたらすのかを調べてみましょう。
シャノンの悪魔では株と現金の割合を半々にするので、常に資金の半分を賭ける( 株にまわす)ことになります。従ってx=0.5です。
また、株が1/2に値下がりしたら賭け金の半分を失ったと考えてR2=0.5、
株が2倍に値上がりしたら賭け金と同じだけ儲けたと考えてR1=1、とすればよいことがわかります。
シャノンの悪魔の例で、はじめの資金が1,000ドルですからA=1000、株価が半分になったときの資金をA1とすると
で、合計額は750ドルとなります。次に株価が2倍に上がったときの資金をA
2とすると
つまり現金と株を合わせて1,125ドルとなっており、2回の投資で値下がりと値上がりが1回ずつで125ドルの儲けたことになっています。
これがシャノンの悪魔の説明です。
ここで一般的なケリー基準
に、R
1=1、R
2=0.5を入れると、f(x)を最大とするxは
となります。シャノンの悪魔の例では、勝ちと負けが1回ずつなので、確率pとしてはp=0.5を与えるのが妥当と考えられます。
そこでp=0.5とすると上の式からx=0.5となり、手持ち資金の半分を株に投資するのが最適だ、となるわけです。
むろん、株以外は現金になるので株と現金を再配分することになるのです。これがシャノンの悪魔の原理です。
なお、p=0.5、x=0.5としてR
1、R
2の条件を求めると
より、変形すると
となるので、元の資金の2倍と1/2のように掛けた値が1になり、
幾何平均すると損益が0になるケースを考想定していることがわかります。
以上述べたように、シャノンの悪魔も、ケリー基準の一種であることがわかったと思います。