ダランベール式買い下がり

「半値戻しは全値戻し」という言葉が証券界にはあるそうです。半値戻せば、その株は比較的強い株なので、 元の株価まで戻る可能性が高いというのです。これに対し、下げた後に少し上がる動きをリバウンドとか自律反発と呼んでいます。 それでは、この自律反発の目安はどのくらいなのでしょうか。一般的に言われているのは、1/3です。 特別な原因がなければ、株価が下落幅の1/3までは戻すことが多いというのです。 戦術として、何か根本的な原因があるのでなければ、悪くても1/3までは戻るだろうとみて買い増すことも考えられます。 そこで今度は自律反発の1/3戻しを期待した買い増し作戦を考えてみます。 先ほどの株数一定で買い下がる投資法では、株価が騰落率rだけ下落するごとに1株(ここでは簡単のため1株としていますが、 正確には同数)ずつ買い増しをしていきましたが、今度は1回目の買い増しで1株,2回目の買い増しで2株、というように購入単位を増やしていきます。 1回ごとの増やし方はダランベールの賭け方と同じですね。株の総数はn回目の買い増しの後、

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となります。一方、購入総額Sは元の株価をAとして

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ですが、rが1より十分小さくnがそれほど大きくないとしてテーラー級数展開の一次までとって (1-r)n ≌ 1-nrと近似すると、

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ここで
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ですから平均単価は

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となります。これは、初回のn=1のときは

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となるので1/3戻しになりますし、n→∞としても、1/3戻しになります。ただし近似的な見積もりなので、前提としてrが小さいことが必要です。 r=0.01だとかなりよくあうのですが、r=0.1だとn=5あたりからずれてきますので注意してください。
実際の例としてA=1000円、r=0.1とした場合を計算してみましょう。買い増し1回目は2株、2回目は3株のように1株ずつ増やしていきます。 平均単価は次表のようになります。


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次の図は表のデータをグラフ化したもので、nが大きくなると少しずれてきますが、それでもn=5で平均単価713円に対し、 1/3戻しでは727円なので、割合よく一致しています。

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自律反発を期待してこのように買い増していくことは有力な方法のように思えます。 もちろん、自律反発しない場合もありますから、銘柄選択に注意は必要ですが。

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