株数一定の買い下がり

まず、最初の株価Aに対して一定額(これをArとします)値下がりするごとに同じ株数ずつ買い増す場合を考えます。例えば50円下がったら買い増しし、 そこからさらに50円下がったらまた買い増す、というように続けるわけです。この場合の購入代金は初回から等差数列となって並びます。 毎回の購入株数を1とすると、 n回目まで買い下がったとして総株数は1+1+…+1=(n+1)株です。平均単価は最初の株価Aとn回目の株価(1-nr)Aの平均ですから、
equation1-1

となります。この式を見るとわかるように、株価がn回目までの下落幅nrAの半分まで戻せば、損失は完全に零です。
それでは、差額ではなくて毎回同じ比率rだけ下落するごとに 買い増す場合はどうでしょうか。例えば10%下がれば買い増しをする、そこからさらに10%下がればさらに買い増しをする、 というように続ける場合です。購入する株数はやはり常に一定とします。n回目まで買い下がったとして総株数は前と同様に、(n+1)株です。 投入資金は、最初にAであったとすると

equation1-1

と、等比数列となります。r<<1としてテーラー級数の2次まで取って近似すると、平均単価は

equation1-1

となります。これは等差数列のときと同じです。
一方、n回値下がりしたときの株価は(1-r)nA ですが、 テーラー級数の一次の近似をとれば(1-nr)Aで、元の株価よりほぼnrAだけ下がっています。 従って、元の株価Aと現在の株価 の半分まで株価が戻れば、つまり値下がり幅の半分まで戻すと、損失をなくしてほぼ零までもどせます ( 近似ですので若干の誤差はありますが )。
例として比率rずつ株価が下落しているときに株数一定で買い増しをしたときの計算をしてみます。 A=1000円、r=0.1としたときの平均単価は次表のようになります。


equation1-1

表からわかるように、nが5回目くらいまでは平均単価と半値戻しはよく合っていますから、 値下がり幅の半分戻せば損失を零にできるわけです(若干プラスになります)。 この方法は、1回につき元の株数と同じだけ買い増すので購入総額の伸びは緩やかです。 このような仕方で買い増しをすることは、最初の購入額が大きくなければそれほど無理ではないでしょう。 買い増しを10回しても、購入に要した総額は最初の額の7倍弱です。ただ半値まで戻らなければやはり損失が膨らみますが。

それでは逆に、相場が強いとみて、株価が比率rだけ上昇するごとに同数ずつ買い増した場合はどうでしょう。 結論だけ述べます。先ほどと同様の計算をすると、平均単価は、値上がり幅のほぼ半値になります。株価がそこまで下落しなければ 利益はプラスのままなので少し余裕はあります。しかし、それ以上下落すると利益をふいにしてしまいますので、 これ以上下がれば売るという指値を設定しておくことが考えられます。

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