ギャンブル必勝法

昔からギャンブル攻略法とか必勝法とか言われているギャンブルの賭け方があります。一番有名なのはマーチンゲールと呼ばれる方法で、 日本のある大手の会社の社長がマカオのカジノで大金を失ったのはマーチンゲールで賭けたからと一時噂になりました。 その他にパーレーとかダランベールとかと呼ばれる方法もあります。 以下それらの方法を期待値の観点から見てみます。

マーチンゲール

equation1-1

カジノ必勝法として知られる古典的方法で、倍儲け法ともいわれます。まず1だけ賭け、負ければその倍の2、さらに負ければさらに倍の4と賭けていき、 一度でも勝てばただちに賭けの単位を1に戻すことにします。このようにすると、賭けの回数には関係なく、勝ったときにはいつも1を得ることになります。 確率的に考えても永遠に負け続けることはないので、いつかは勝つことになる、従って賭けには必ず勝つ、というのがマーチンゲール法の考え方です。 この方法を数学的に考えてみることにしましょう。 最初に1を賭けて負け、それからさらに続けて合計n回連続で負けたとします。失ったお金は等比級数の和の公式を使うと次のようになります。

equation1-1

一回目の負けで1、二回目の負けで3、三回目の負けで7、というように損失が膨らんでいきますね。一方、二回目に勝てば2、三回目に勝てば4、 四回目に勝てば8、というように獲得できますので、n回負けても次のn+1回目に勝てば必ず1を得ることができます。 数式で考えると、n+1回目の賭け金は2nですので、もし勝てば最終的に

equation1-1

となって、回数nには無関係にいつも1を得ることができるわけです。この方法は負け続けても最後に勝てばよい、というのがみそです。 ここで期待値の考え方を取り入れてみます。期待値とは、平均していくら儲かると見込めるかを数値化したもので、 ピッタリその通りになるというわけではなく、数学的な概念です。 1回目に勝つ場合、二回目に勝つ場合、…と、n回目に勝つ場合までを考え、それぞれの回の獲得金と勝つ確率との積を足し合わせると

equation1-1

となります。上の式だけを考えると、いつかは勝つのだからn→∞で期待値は1となると考えるかもしれません。 しかし、n回連続で負け続ける場合を考えると、損失分は、

equation1-1

となり、儲けの分と足し合わせると零になります。nを増やしても零のままです。つまり、期待値は零で、平均すると損も得もしないことになります。 具体的に、3回目までの勝負を表にまとめてみましょう。

equation1-1

本来のマーチンゲールでは勝てば一旦終了し、負ければ勝負を続けますが、 ここでは3回目に負けたときに勝負を中断してそれまでの損益の平均を計算することにします。 3回目までに勝つすべての場合と3回目も負ける場合とを確率の重みを賭けて平均すると、損益は

equation1-1

となって、3回目までの損益の期待値は零となっています。むろん、回数を多くしても、この値は変わりません。 これからわかるように、マーチンゲール法は必勝法とは言えません。負け続けるケースを考えていないのです。 もし「ツキ」のない状態で負け続けてしまったら、どんなお金持ちでもnを無限大に増やすことはできませんから、 どこかで打ち切らないといけません。その時点で莫大な損が確定します。
この方法は、たいていの場合小さく勝つが、たまに大負けして利益は帳消しになる、それどころか負け続けたときは損失が膨らんで取り返しのつかない痛手となる、 ということになりがちです。ということで、マーチンゲールでは損失が重なった場合は見切りをつけることが大切ですが、見方を変えると 「確率的にそこまで負け続けることは滅多にない」と信じるのも無理からぬことです。このへんが落とし穴にはまる人がいる所以ではないでしょうか。

バフェットのところでも出てきたように、まさに期待値の考え方、「利益のでる確率×利益の金額」-「損失のでる確率×損失の金額」が大事ですね。

top back next


inserted by FC2 system