期待値

期待値とは確率論の用語です。例えばサイコロを振ったときに、1の目が出る場合、2の目が出る場合、 …と、起こりうる事象が幾つかに場合分けされているとしましょう。サイコロの場合、1から6までの目が出る確率は、 出目に偏りがないとすればそれぞれ等しくて1/6です。出目の数字にそれぞれの確率を賭けてすべてを加え合わせると、

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となるので、この場合の期待値は3.5です。サイコロを何度も何度も振って、出た目を平均したときに幾らになるかというと、 3.5になるだろうというのです。このように期待値とは、起こりうる事象にその確率を掛けて加え合わせたもので、 事象の実現値を確率の重みで平均した値と言うことができます。 例えばギャンブルの場合を考えてみましょう。1を賭け金として、勝てば賭け金を含めて2戻り、負ければ0になるとします。勝つ確率を1/2とすると、

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となって、期待値は1となります。この期待値は、賭け金に対して戻ってくる「見込み」の額を示しています。 勝つか負けるかの確率が1/2なので、何度も賭けをして、勝負の後に手元に残ったお金を平均すると1、つまり賭け金と同額の値になるというのです。 実際には賭けの後は2になるか0になるので、1になることはありません。あくまでも平均すると1になるという意味です。 同じことを、今度は変数を損得のお金に変えて評価してみると、勝った場合は1儲かり、負けた場合は1失うわけですから

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となって、損得で評価すると期待値は0となります。つまり、実際には儲かるか損するかどちらかなのですが、 期待値としては儲けも損もない、利益は平均すると零だというのです。 今度は勝つ確率が2/3であるとしましょう。その場合の損得は、

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となって、期待値が1/3とプラスになります。これは1回賭けをすれば平均して1/3儲かるということですから、 回数を増やせば増やすほど儲ける額も大きくなります。このように、期待値が0より大きいと平均的には、 つまり勝負の回数が十分多いとした場合には、儲かり、小さいと損をするわけですね。 株の場合ですと、例えば10万円の株を持っていて、10%上がれば利益確定、10%下がれば損切りと決めているとします。 10%上がるか下がるかの確率がともに1/2とすると、10万円の10%は1万円ですから損得の期待値は

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となって、損得の期待値は当然ながら0です。また、売買ルールを10%上がれば利益確定、5%下がれば損切りと決めていて、 それぞれの確率を1/3、2/3とすると、

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となって、この場合も期待値は0です。損切りの値幅を狭くとっているので勝つ確率が低くても損失になっていないわけですね。 『損切りは早く、利確はゆっくり』と言われるゆえんでしょうか。

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