変形バリュー平均法

バリュー平均法ではなぜ購入額の増大が起こるのでしょうか。また、株価と購入額の位相が90度ずれる理由は何でしょうか。 実は購入額を数式で追っていくと明らかになってきます。
n回目の積立目標額はnAだから、株価をanとすると目標額を達成するための総株数mnは mn=nA/anとなります。 前回までに購入した全株数はmn-1ですから、今回購入する金額は (mn-mn-1)×anで、これはつまり

equation1-1

この式から、次のようなことがわかります。
  1. 毎回の購入金額のAに対する増減はArnとなり、次の式であらわされる増減率rnによって決まる。
    equation1-1

  2. 株価が前回と変わらないとき、すなわちan=an-1のときrn=0で、購入金額はAである。
  3. 今回の株価が前回より高くなったか、低くなったかでrnの符号が変わる。 株価が高くなった場合はan>an-1でrnが負だから 購入額が減る。逆に株価が低くなったらrnが正で購入額を増やす。
  4. 分母にan-1があるから、株価が高いときはrnが小さく、購入額が減る。逆に株価が安いときは購入額が増える。
  5. (n-1)を掛けているから、nが増大するほど、つまり積立回数が増えるほどrnの絶対値が大きくなり、購入額の振幅が増大する。

簡単に言えば、バリュー平均法における毎回の購入金額の増減は、株価の微分値(実際には差分ですが)と回数n-1に比例し、一回前の株価に逆比例するといえます。 これが株価のsin変動に対して購入金額がcos変動になり、回数nが増えるほど変動の振れ幅が大きくなった原因です。

■変形バリュー平均法

バリュー平均法の増減率rnにおいて問題のある(n-1)の項を 定数kで置き換えてみましょう。kの値を調整することで増減額を変えることもできます。rn
equation1-1

とおけます。ここで注意すべきは、この方法はバリュー平均法ではないのでn回目の積立額がnAとはならないことです。この意味で正規のバリュー平均法とは呼べないかもしれません。 次の図はk=4とした場合の例です。今度は購入金額の変動も一定の振れ幅を保つことがわかるでしょう。

fig2_19 fig2-20


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