バリュー平均法

積立型の投資方法の一つにバリュー平均法があります。ドルコスト法よりも効率が良いと宣伝されているのですが、 なかなか面白い方法なのでその積み立て方を見てみましょう (参考 しんたろう氏ホームページおよびK-ZONE Money社 ホームページの岡本氏インタビューより)。

  1. バリュー経路の目標値を設定する。バリュー経路とは積立額の合計が一定額Aずつ増加していき、n回目なら総積立額がnAとなっていること。 例えば、A=10万円とし、n=5で5回積み立てると積立額は2回目で20万円、3回目で30万円と増えていって、 累計は50万円となる。これが目標値である。
  2. この方法では、株を購入して積み立てていく。つまり、 前回までに積み立てた株の時価総額と今回の目標額とを比較し、不足していたらその差額分を株で購入する。 例えば、前回までに積み立てた株数が30株で、株価が7,500円であれば時価総額は225,000円である。 今回の目標額を40万円とすると差額の175,000円分の株を購入する。 株価が7,500円なので23.3株を購入すればよい。合計の株数は53.3株となる。
  3. もし株の時価総額が今回の目標値を上回っていたとすると、その超過分は株を売却してバリュー経路が目標値を保つようにする。 例えば前回の株価が7,500円から上昇して10,000円になったとすると、株数は53.3株であったから時価総額は53.3万円となり、 目標の50万円をオーバーする。従って今回は積み立てる必要はなく、逆に株を3.3万円分売って目標値の50万円をキープする。 売った3.3万円分は次回の積立金として蓄えておく。
次の表に上記の例の積立の推移を示します。A=10万円としてn=1, 2, .., 5の5回積み立てます。 目標は50万円です。株価は最初10,000円からスタートし、25%上昇して1,250円となり、そこから10,000円に戻り、今度は25%下落して7,500円になり、 最後に10,000円に戻るとします。表からわかるように、最後の5回目では購入株数、投入金額ともマイナスになっており 目標値をオーバーしているので株を購入する必要はなく、超過分は売却して現金化します。表からわかるように、結局全投入金額456,667円で50万円分の株を積み立てたことになり、 差額の4.33万円余りが利益となります。

table2-1


■特徴と問題点

こんどは正弦波的に株価が変動している場合についてみてみましょう。A=10,000円、ドルコスト法のときと同じように、平均株価を750円とし、 振幅250円で株価が正弦波的に変動するとします。次の図は約4周期分について計算したものです。

fig2_19 fig2-20

上の図からわかるように、株価と投入金額は約90度位相がずれており、投入金額はcos波(余弦波)のように変化すること、しかも、 その振幅が次第に大きくなっていくことがわかります。このことは簡単な例を考えてみてもわかります。

例えばA=1万円とし、n=10回目で10万円分積み立てたとします。そこから株価が25%下落して時価総額が7.5万円になったとすると、 n=11で11万になるための投入額は11-7.5=3.5万円です。ところがn=100回目で100万円分積み立てていたとして株価が25%下落したら 101回目の投入額は101-75=26万円必要になります。つまり、積立額が大きくなるほど投入額が増えるのです。 これでは長期に安定した積み立ては難しくなります。
そこで実際はキャップ付きバリュー平均法と称して上限を設け、一定額以上には増大しないように工夫しているようです。

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