計算例による比較

それでは、実際に幾つかのモデルで算術平均法、ドルコスト法(ここでは調和平均としておきます)、スーパードルコスト法の平均単価の比較をしてみましょう。 なお、以下の計算では正確を期すために近似式は使わず、定義通りの計算で平均単価を求めています。


■株価が直線的に変化する場合

最初は、株価が直線的に変化する場合です。 下図左側は上昇相場の場合で、100円から154円まで株価がほほ5割上がったときの算術平均の単価127円に対して、ドルコスト法(調和平均)では124.6円、超ドルコスト法では122.3円です。 1単元が1000株であったとしても算術平均と超ドルコスト法の差は4700円ですから、このケースではそれほどの差はないです。
次に右側の下降相場を見てみましょう。100円から55円まで株価がほぼ半分に下降するときの算術平均の単価77.5円に対して、ドルコスト法で74.8円、超ドルコスト法では72.1円です。 この場合も、上昇相場よりは少し差が大きくなりますが、それほどではないですね。

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株価が直線的に上昇する場合の単価の比較 株価が直線的に下降する場合の単価の比較

■株価が正弦波的に変動する場合

次は株価が正弦波的に変動する場合です。下図はともに正弦波的に株価が変動する場合で、変化の仕方が正負逆になった場合のチャートと計算結果の比較です。 算術平均、ドルコスト法(調和平均)、スーパードルコスト法の比較結果は全く同じことがわかります。 つまり正弦波的に変化している場合には、高値安値の順番が逆になっても、一周期分をとれば同じ値になるということです。
これらの結果をみると、平均単価は算術平均で750円、ドルコスト法で707.1円、超ドルコスト法で666.7円ですから 算術平均とドルコスト法では43円、算術平均と超ドルコスト法では83円ほどの差があることがわかります。 仮に1単元が100株とするとドルコスト法で4300円、1000株だと43000円の差が算術平均との間に生じるわけで、 超ドルコスト法だとそのほぼ2倍ですからこれはある程度有意な差だと思います。

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株価が正弦波変動をする場合の単価の比較(1) 株価が正弦波変動をする場合の単価の比較(2)

■株価がトレンドにそって正弦波的に変動する場合

最後に、上昇あるいは下降トレンドにそって正弦波的に変動する株価の場合はどうでしょうか。 下の図はそれぞれ株価が上昇トレンドと下降トレンドで正弦波的に変動している場合です。 購入時の株価aiはどちらも出発値Aは500円、トレンドの勾配B1は+20円と-20円、 正弦波の振幅B2は200円と100円としています。 上昇トレンドでは算術平均590円に対してドルコスト法は571.7円、超ドルコスト法は554.5円ですから、 算術平均とドルコスト法の差は18.3円、超ドルコスト法では35.5円です。ある程度の差ではあるのですが驚くようなものではありません。 これに対し下降トレンドでは算術平均410円に対しドルコスト法では371.5円、超ドルコスト法では336.2円になっています。 算術平均とドルコスト法の差は38.5円、超ドルコスト法とは73.8円で、算術平均と比べればかなり大きな差になっています。

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株価が上昇トレンドの正弦波変動をする場合の単価の比較 株価が下降トレンドの正弦波変動をする場合の単価の比較

これらのことから、ドルコスト法や超ドルコスト法は株価が下落傾向にあるときに株数を増やして単価を下げる効果が大きいことがわかります。 経営不安がなく安定した経営をしている会社であれば、一時的な下落も元に戻す可能性が高いので積立方式で長期的な投資をするメリットは十分にあると考えられます。 株式投資にそれほど時間がさけない、あるいは面倒なので月々自動的に積み立てたい人、少しずつ少額の端株を積み立てたい人に積立方式は適しているでしょう。 それでは、積立型の投資の問題点は何でしょうか。 もちろん、第一には値下がりしても反発する力のある銘柄を選ぶことです。いくら長期投資で買い単価を下げるとしても、株価が下がりっぱなしでは利益は望めません。 第二には、自動的に購入するので株価が高い時も買ってしまうことです。むろん、その時以上に値上がりすれば、それが買い時だったということが言えますが、 相場が過熱していて先々下がりそうだから手控えたい場合もあります。機械的な購入だと、 市況や個別の値動き、世界情勢などとは無関係に買っていきますから個人の判断の入る余地はありません。 自分の判断で売買したい人は、始めからそのような投資方法を採用すべきでしょう。

スーパードルコスト法は、ドルコスト法のほぼ2倍の平均単価押し下げ力がある。

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