バフェットの投資術(2)

● 市場を上回るパフォーマンスを上げたファンドの大多数は、バリュー投資のアプローチを支持している。 つまり、潜在的な価値よりも低い株価が付いている銘柄を探すのである。 ウォーレン・バフェットは有名なスピーチ『グレアムとドッド村のすごい投資家たち』の中で、この投資アプローチは、 成功を収めている多くの投資家に共通していると語っている。(p23) マイケル・J・モーブッシン「投資の科学」日経BP社

■ バリュー投資とグロース投資

株取引は、安いときに買って高いときに売れば儲かるわけですが、いまの株価が安いかどうかを判断するのに、 「バリュー」投資と「グロース投資」という二つの考え方があります。バリュー投資とは、現在の企業価値が(過去と比較して)何らかの理由で割安に評価されており、 それは一時的なものなので、やがては本来の姿に戻っていく、つまり妥当な株価まで上昇していく、という考えに基づいています。
逆を言えば、一時的に人気化した株も 、実力以上に株が上がっていればやがて下落して本来の株価に落ち着く、ということが言えます。


またグロース投資とは、企業の成長性に着目する投資方法です。売上と利益が年々増加しているとか、新しいサービスを始めたので競争相手がいない、 などで現在は利益が少なくても将来大幅に伸びると期待して買うわけです。実際このような会社がITやバイオ関係などのトピックス性のある分野にはときどきあらわれて 、数十倍の株価になったりします。
もしこういう株を買っていれば、宝くじに当たったようなもので、非常に大きな利益を得られるでしょう。 しかしそのような会社はそう多くはないはずで、当たる確率は低いと見なければなりません。

■ PERとPBR

先ほどのバリュー投資家の判断材料として出てきたPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)ですが、PERは株価を1株当たりの純利益(EPS)で割ったものです。 PBRは株価を1株当たりの純資産で割った値です。どちらも、株価が割安であるかどうかの判断材料として使われます。
equation1-1 一般にバフェットはバリュー投資家だと思われていますが、バフェットは、バリュー投資とグロース投資はお尻のところでつながっている、 つまり根っこは同じであるといっています。どちらも将来の値上がりを見込むわけなので、 そのキャッシュフローがどのくらいのものかをきちんと予測することが大事だといっているのです。


つぎに、バフェットは期待値を重視していることが以下の記述からもわかります。

● 重要なのは、期待値はいくらかという視点で、すべての投資機会を判断することである。(中略)
バフェットに言わせれば、「損失が出そうな確率に損失の金額をかけ合わせたものを利益が出そうな確率に利益の金額を乗じたものから引いてみる。 それが我々がやっていることだ。完全に予想することなどできないが、それしかない」ということである。 (マイケル・J・モーブッシン「投資の科学」日経BP社、p32)

これは「賭博者」のルーレットのところで説明したハウスエッジと同じです。つまり、

「利益のでる確率×利益の金額」-「損失のでる確率×損失の金額」

です。
ルーレットと違って、勝つ確率や負ける確率が数学的に求められるわけではありませんが、 投資をするかどうかの判断には儲かったときの利益だけではなく、それが失敗したときの損失も考慮して、期待値で決めるべきだというのです。

人間は、失敗したときのことは考えたくないので、利益の出る確率だけを考えて投資をしがちですが。

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